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会見ルーム


 高尾紳路七段に聞く
       ネット対局で新しい手試す

   話題の棋士に本音を聞く「会見ルーム」。連載2番手に登場するのは若手エース格の1人、高尾紳路七段だ。まだビッグタイトルには手が届かないものの、1999年に最多勝利をあげ、2000年には連勝賞を獲るなど、ここ数年、目立った活躍を見せている。プロ仲間での評価も高い。日ごろの勉強法や「囲碁観」などについて聞いてみた。
(聞き手は日本経済新聞社文化部編集委員 木村亮)


――11月末現在で50局を消化して8割近い勝率。一昨年あたりからの好調が続いているようですね。

 確かに勝ち星、勝率ではまずまずですが、昨年あたりから“急所”で勝っていないので、気分的にはボロボロという感じです。

 例えば昨年の名人戦の3次予選決勝。リーグ入りをかけた大事な一番でしたが、趙善津九段に負けてしまった。やはり名人、棋聖、本因坊といったところでリーグに入るのは1つの目標。正直言って大変悔しかった。まあ、弱いから負けるのでしょうし、仕方ありませんが……。

――自分の碁はどういう棋風だと思っていますか。

 自分の碁が一番普通だと思っているので何とも表現しにくいのですが、良く言えば「手厚い碁」、一歩間違えれば「ぬるい碁」ということでしょうか。いずれにしろ師匠(藤沢秀行名誉棋聖)の影響を強く受けていることは確かです。

 布石では決まったパターンはなく、星でも小目でも、その都度使い分けています。黒番か白番かということで言えば黒の方が勝率は高く、自分でも打ちやすい感じはします。コミで6目半までなら黒を持ちたいですね。あまり得意でないのがヨセで、“師匠譲り”などと言っては怒られそうですが、あまり教えてもらわなかったことも事実です。

――秀行先生とはずいぶん指導対局をしてもらっているのですか。

 実際に打ったのは、小学校3年ぐらいまでに4子局を3回ほど打ってもらったのと、12−13歳のころ、院生時代に定先で1局打っただけです。定先の碁はもちろん負け。タイトル争いをしている棋士と院生が置き石なしでは全く手合い違いでした。

 もともと田岡敬一さんに師事していましたが、田岡さんと秀行先生が親しかった関係もあって入門することになりました。小さいころから、いずれは秀行門下に、という感じがあり、先生の碁はよく並べていました。入門してから五段ぐらいまでは自分の打ち碁を並べて先生に批判していただくというパターンが多かったでしょうか。「オマエはバカか」など厳しい言葉もずいぶんいただきました。初めのころは正直、ビビッたときもありましたが、すぐに慣れましたし、とてもいい勉強になったのは事実です。

 最近、お会いするのは月に1度あるかないか。昔よりはずっとやさしくなりました。競馬場で会ったときなどにひと言、着手について批評をしていただくと、心配していただいているなという雰囲気がよくわかります。

――普段の碁の勉強はどんな形で行っているのですか。

 今は若手で組織している「初台研究会」が中心です。初台研究会と言っても、最近、市ケ谷の日本棋院の近くに引っ越してしまい、名前をこのままにしていいのかどうか考えているところです。前よりだいぶ狭くはなったのですが、新しくて便利な場所ということで、なかには時々寝泊まりしている人もいるようです。

 原則として集まるのは金曜日。できれば月曜も、という感じで、タイトル戦など直近に打たれた大事な碁を中心に研究します。打った当事者がそこにいることもあります。レギュラーメンバーは10人ほど。もちろん役職などはありませんが、柳時熏天元が一番偉い感じで、私が事務方、張栩君が会計担当といったような役割分担になっています。

――若手の台頭という点では韓国あたりに一歩リードされているように見えます。実際に打ってみてどのような感想をお持ちですか。

 武者修行のような形で行ったことがありますが、一口に言って厳しい碁を打っているなという印象でした。険しい戦いのなかで、実戦的というか、こちらが気づかないような手を考えている。20歳ぐらいでメチャメチャ強いのがいるのには驚きました。持ち時間3時間の対局に慣れているせいもあるのでしょうが、短い時間でもよく手が見えている。

 日本の棋士が戦う場合には、3時間に慣れていない分だけこちらが不利かもしれません。序盤から中盤にかけてはあまり趣向を凝らさず、ある程度決めて打つことも必要でしょう。終盤、細かくなったとき、時間があるのとないのでは、間違える確率がまったく違ってきますから。

――若手の間ではインターネットでの対局というのも結構増えているようですが。

 もともと千葉の実家にパソコンがあったせいで、比較的早くからネット対局はしていました。最近でもときどきやります。プロや、アマでも相当に強い人も参加しているので、新しい手を試してみようというときなどにはうってつけです。

――碁を打っていないときはどんなことをして過ごしているのですか。

 特別これといった趣味はありませんが、家ではテレビゲームをしていることが多いでしょうか。将棋も見るのは好きです。出かけるとすれば競馬を見に行ったりするぐらいですが、自転車で遠出をするのも好きで、前に東京の中野から江ノ島まで行ったこともありました。確か、往復で12時間ぐらいかかった気もします。

――ライバルの羽根直樹八段や山下敬吾七段がタイトル挑戦手合いやリーグ戦に出てがんばっているようですが。

 負けないようにがんばりたい。当面、やはり挑戦者決定リーグや本戦トーナメントに出るのが目標になります。王座戦でもがんばりたいと思いますので、よろしくお願いします。



高尾紳路七段(たかお・しんじ)
 1976年10月26日千葉市生まれ。藤沢秀行名誉棋聖、田岡敬一氏に師事。91年に入段、2000年に七段。96年新人王、2000年NEC俊英、竜星戦優勝。99年度最多勝利、最多対局賞。2000年度連勝賞。


 
[2001年12月1日 掲載]

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